~会場は石川県小松市のこまつドーム。北陸新幹線沿線7県に次回開催県である岐阜県を加えた8県の15団体が一堂に集結。~
【いしかわ百万石文化祭2023】
「いしかわ百万石文化祭2023」は、「第38回国民文化祭」と「第23回全国障害者芸術・文化祭」の統一名称です。
各種の文化について全国規模で発表、共演し、障害のある人もない人も、共に参加して交流の輪を広げていく国内最大の文化の祭典です。
石川県では平成4年(1992年)に開催して以来、31年ぶり2回目の開催となります。同時開催となる「全国障害者芸術・文化祭」は、今回が初開催となります。次回開催県は岐阜県です。(※詳細はこちらへ)
2023年10月15日、天皇、皇后両陛下は即位後はじめて石川県を訪問され、開会式に出席されました。1泊2日の滞在期間中、百万石文化祭2023に参加する県民と交流されました。
◆開催日時:令和5年(2023年)10月14日(土)~11月26日(日) の44日間
◆正式名称:「第38回国民文化祭・第23回全国障害者芸術・文化祭」
◆統一名称:「いしかわ百万石文化祭2023」
◆キャッチフレーズ:「文化絢爛(ぶんかけんらん)」
◆開会式:令和5年10月15日(日) いしかわ総合スポーツセンター
◆閉会式:令和5年11月26日(日) 石川県立音楽堂
◆開閉会式総合ディレクター・スペシャルアンバサダー:野村 萬斎氏(狂言師、石川県立音楽堂邦楽監督)
◆音楽アドバイザー:池辺 晋一郎氏(作曲家、石川県立音楽堂洋楽監督)
◆主催者:文化庁、厚生労働省、石川県、市町、石川県実行委員会、市町実行委員会、文化関係団体 等
開会式には、天皇皇后両陛下が出席され、天皇陛下は、
「石川県は三方を日本海に囲まれた能登と、霊峰白山を仰ぐ加賀という2つの特色がある地域からなり、その美しい自然風土と長い歴史を背景に多彩な文化を育んできました。地域に息づく伝統や文化の良さを再認識する機会となり、文化芸術活動のすそ野を広げ、新たな文化の創造につながっていくことを期待しています。」
とおことばを述べられました。
【いしかわ2023 PR動画】
【公式ガイドブック】
◆「北陸新幹線沿線『獅子舞・グルメ大集合』」
~「いしかわ百万石文化祭2023」のリーディング事業として開催。
北陸新幹線沿線7県に次期開催県の岐阜県を加えた8県・15団体の獅子舞が2日間にわたり披露~
◆開催日時:2023年11月18日(土)、19日(日) 10:00~16:00
◆開催場所:こまつドーム(石川県小松市林町ほ5)
◆料金:無料
◆主催:文化庁、厚生労働省、石川県、いしかわ百万石文化祭2023実行委員会
◆いよいよ来春、北陸新幹線が「敦賀」まで延伸予定
2024年3月16日(土)に、北陸新幹線が「敦賀」に延伸予定です。
それに先駆けて、北陸新幹線沿線県と、次期開催県(第39回国民文化祭/第24回全国障害者芸術・文化祭)の岐阜県を加えた8県・15団体の「伝統芸能・獅子舞」と、「食文化・グルメ」が、こまつドームに賑々しく大集合しました。
埼玉県代表として、「台町の獅子舞」が出演し、見事な演舞を披露してくださいました。
◆ほぼ同一の、加賀藩の「参勤交代」と「北陸新幹線」のルート
◆加賀藩前田家と、中山道「本庄宿」との歴史的なつながり
北陸新幹線の「東京‐金沢間」は、ほぼ加賀藩前田家の参勤交代にそったルートを走行しています。
加賀藩前田家は、寛永12年(1635年)~文久2年(1862年)の227年間のうち、合計190回の参勤交代をしています。
そのうちの181回が、北陸新幹線と同じ「北陸下街道→中山道」(越中、越後、信濃、上州、武蔵)のルートを利用していました。
中山道「本庄宿」は、江戸から数えて10番目の宿場です。
天保14 年(1843 年)の『中山道宿村大概帳』によると、「本庄宿」は、人口4,554人(1位)・家数1,212軒(1位)・旅籠70軒(3位)・本陣2軒・脇本陣2軒となり、「本庄宿」は中山道最大の宿場町に発展しました。
「本庄宿」が中山道で一番栄えた理由は、 本庄宿は西国、越後や信濃、日本海方面へと向かう交通の要衝であり、街道による人々の往来が多かったことや、「山王堂河岸」や「一本木河岸」などの河岸が存在し、利根川の水運で発展したこと、寛文3年(1663年)に榛沢村から市神様を譲り受けてから、月に6回の定期市「六斎市」が開かれ、多種多様な業種の多くの商人が存在したことなどが考えられます。
その中でも、「本庄宿」跳躍のきっかけの一つとなったのが、加賀藩前田家の本陣が本庄宿に置かれたことでした。
「田村本陣」と加賀藩前田家との関係は深く、本庄宿に「田村本陣」が置かれたのは、寛永10年(1633年)、加賀藩前田家が上野国川井河岸(現・群馬県玉村町)に設けてあったものを、本庄宿に移したことに始まると伝えられています。
本庄宿には中山道を挟んで2つの本陣(北側に「田村本陣」と、南側に「内田本陣」)がありました。
参勤交代に中山道通行を指定された大名は、加賀藩の他、上野、信濃、越中、越後、美濃等39藩でしたが、これ以外にも幕府の許可を得て通行する大名もあり、「本陣」の設置によって、往還が整備され、旅籠屋も増加し、本庄の宿場町は大いに繁栄しました。
◆スケジュール表
~8県15団体の獅子舞が2日間にわたり演舞。「台町の獅子舞」は11月18日(土)に出演されました。~
◆「台町の獅子舞」石川県小松市にてお披露目
~360年間、戦時下でも、コロナ禍でも途切れることなく続いてきた「台町の獅子舞」~
いしかわ百万石文化祭2023の「北陸新幹線沿線『獅子舞・グルメ大集合』」というイベントを通して、全国には非常に様々な獅子舞があるのだと、驚きました。
民俗芸能・伝統芸能は、その土地に伝承されてから、その土地の歴史や、気候風土、文化、信仰、人々の気質等によって育まれ、何百年という単位でゆっくりと変容していった結果、様々なスタイルの獅子舞が存在しているのだと思い、伝統芸能の面白さを感じました。
このたび埼玉県代表として参加した「台町の獅子舞」を、動画を通して見させていただき、とても素晴らしい演舞で誇らしく感じました。
このような素晴らしい獅子舞が本庄に継承されているのも、その担い手である「台町獅子舞保存会」の皆様方が、360年もの長い間、日々の練習を大切に、伝統芸能の技術・精神を守り、磨き上げてきてくださったからだと思います。
保存会の皆様方の熱意とご尽力によって、本庄の大切な伝統文化が守られ、受け継がれ、地域の人たちに感動を与え続けてくださったのだと思います。
北陸新幹線沿線の7県と次期開催県である岐阜県を含めた8県の15団体が一堂に集まり、それぞれの地域で継承されてきた獅子舞が演舞される中で、本庄の「台町の獅子舞」を、他の地域の皆さまにお披露目し、共有していただいたことが本庄市民の一人としてとてもありがたく思いました。
◆「台町の獅子舞」(埼玉県本庄市)について
毎年7月の「海の日」直前の土曜・日曜に行われる「本庄祇園まつり」に合わせて、本庄の三匹獅子舞「台町の獅子舞」が奉納されます。
巡行は2日間あり、大正院(薬師堂)を出発し、台町八坂神社に宮参りをしてから、町を巡行します。
「台町の獅子舞」は、寛文3年(1663年)、大里郡榛沢村の定期市が本庄宿に移されたときに、「市神様」に獅子舞を奉納したのが最初と伝わります。
今年で、360年目、361回の演舞が、戦時下においても、コロナ禍においても、現在まで1度も休むことなく町内の「悪疫退散」と「雨乞い」のために獅子舞が毎年奉納され続けてきました。
「台町の獅子舞」は三匹獅子で、「法眼(若獅子・雄獅子)」、「中獅子(雌獅子)」、「老獅子(雄獅子)」の三体で構成されています。
獅子頭は龍頭で、最も古い獅子頭には、「寛文八戌申出来仕」(寛文8年(1668年))の文字が刻まれており、「雷電神社(沼和田)」の御神木で造ったと伝承されています。
古くは、本庄宿全体を巡行していた記録が残っています。
◆地域によってさまざまな全国の獅子舞
~日本全国に約7000もの種類が存在する獅子舞。大きく分けると2つの種類。~
【伎楽系(ぎがくけい)獅子舞】
「伎楽系(ぎがくけい)の獅子舞」は、胴幕(かや)の中に人が入り、獅子頭を手で操作します。
胴体部分に入る人数によって、「二人立ち獅子」、「百足獅子」などと呼ばれます。西日本を中心に広く分布しています。
【風流系(ふりゅうけい)獅子舞】
1人が1頭を担当し、腹に太鼓などをつけてたたきながら舞う、「一人立ち」の獅子舞です。
関東地方から北海道南部まで東日本に広く分布しています。
風流系獅子舞には、3匹で1組の「三匹獅子舞」や、東北の7~8匹で1組の「鹿踊(ししおどり)」があります。
「三匹獅子舞」の源流とも考えられている「風流踊り」(24都府県の計41件)は、2024年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。(※詳細は「風流踊 - 文化遺産オンライン」、「ユネスコ無形文化遺産「風流踊」とは?なぜ着飾り、歌い踊るのか? その精神性をひも解く」)
◆興味深い全国の獅子舞の様子
◆「激しくなる3頭の獅子!福井県小浜市 雲浜獅子(うんぴんじし) いしかわ百万石文化祭2023」
※三匹獅子舞・福井県指定無形民俗文化財
◆「酔った獅子が大暴れ!富山県 沓掛獅子舞 いしかわ百万石文化祭2023」
◆「口上がかっこいい!龍助町大獅子!石川県小松市 いしかわ百万石文化祭2023」
◆「お獅子とおかめが一緒に舞う!新潟県 折平の獅子舞 いしかわ百万石文化祭2023」
※上越市指定無形民俗文化財
◆「迫力ある生き物感溢れる獅子舞!首里真和志町 沖縄県首里城 2023」
◆躍動感ある鹿踊(ししおどり)!中尊寺 行山流都鳥鹿踊(ぎょうざんりゅう とどりししおどり)2022.11.3
※奥州市指定無形民俗文化財
https://youtu.be/mId6vgRMes0?list=PLRZGvOZ1LHKIEu68860_ZwwXaUottf45p
◆子どもの踊りが上手すぎる!北上・みちのく芸能まつり2023
※岩手県指定無形民俗文化財
◆【岳神楽】諷誦(ふうしょう)
早池峰(はやちね)神社例祭に奉納(岩手県花巻市大迫町岳地区神楽)・ユネスコ無形文化遺産
※いわての文化情報大事典様YouTubeチャンネルより
◆雌獅子を探す舞、東京都青梅市 友田の獅子舞 2023
※三匹獅子舞(四隅に花笠役・ささら摺りあり)・青梅市指定無形民俗文化財
https://youtu.be/dkNsEADusw8?list=TLPQMDIxMjIwMjMCEi68hkyQRA
◆秩父・浦山の獅子舞。まるで獣のような動きに注目! 2022.10.23
※三匹獅子舞・県指定無形民俗文化財
https://youtu.be/BSHU40Mw7fg?list=PLRZGvOZ1LHKIEu68860_ZwwXaUottf45p
◆猫のような獅子舞!獅子舞王国さぬき2022 総社獅子保存会
https://youtu.be/k3YkxXwr15s?list=PLRZGvOZ1LHKIEu68860_ZwwXaUottf45p
◆1人角力(すもう)、見えない相手「精霊」と戦う力士 2023.6.22
※愛媛県無形民俗文化財
◆巨大な船が家を訪問!石川県小松市 安宅まつり
https://www.youtube.com/shorts/7X_e6xUa1HU?feature=share
◆薙刀と格闘する獅子舞!石川県加賀市合河町毛合 2022年
https://youtu.be/2tJ4KV5A7tE?list=PLRZGvOZ1LHKIEu68860_ZwwXaUottf45p
◆飛び跳ねる獅子舞!石川県加賀市合河町川尻
https://youtu.be/goolclKkYUM?list=PLRZGvOZ1LHKIEu68860_ZwwXaUottf45p
◆口を動かし続け、厄を噛む獅子舞!?石川県加賀市黒瀬町 2022
https://youtu.be/LbPJcizga10?list=PLRZGvOZ1LHKLYbsfsFIIGt4YFiJuKdp1P
◆豊富な技の数々! 石川県加賀市田尻町 獅子舞 2022
https://youtu.be/yHOMkjZ1x0E?list=PLRZGvOZ1LHKLYbsfsFIIGt4YFiJuKdp1P
◆猛ダッシュする獅子舞!石川県加賀市塩屋町 揚げ獅子 2022
https://youtu.be/FmHbGNkIPLU?list=PLRZGvOZ1LHKLYbsfsFIIGt4YFiJuKdp1P
※稲村さんが顧問を務める「石川県加賀市の獅子舞クラウドファンディング」
https://congrant.com/project/akurume/8553
※獅子舞ユニット結成!都市の余白を探す、獅子舞生息可能性の視点とは?
https://note.com/shishinoha/n/nb93852700d20
※「オマツリジャパン」稲村 行真さんの記事
https://omatsurijapan.com/user/u/810/article
◆激しい腕さばき!埼玉県本庄市 台町獅子舞 いしかわ百万石文化祭2023
◆都市祭礼としての三匹獅子について
~矢嶋正幸さんの論文「都市祭礼としての三匹獅子」から見えてくる「三匹獅子」の可能性~
矢嶋正幸さんは、「埼北文化研究会」の代表を務められている民俗研究者です。
矢嶋さんは、「都市祭礼としての三匹獅子 -近世初期の城下町を中心にして-」 (群馬歴史民俗第39号、2018年3月、群馬歴史民俗研究会)の中で、都市の中で農村とは違う特徴を持っていた三匹獅子について分析されています。
その中で、「台町の獅子舞」を都市祭礼の三匹獅子の一つとして取り上げ、三匹獅子の新たな一面を探ってくださっています。
「市立てに三匹獅子が要請されたのは、巡行という風流の機能によるだろう。
伊藤純は「三匹獅子舞の原初形態ともいうべきものは花を中心にムラを練り歩く、神送りともいうべき芸能で、獅子はその囃子の一員に過ぎなかったのではないだろうか』と述べる。
まさしく都市祭礼の三匹獅子に必要とされたのは都市という共同体の中を練り歩くという機能にあったのである。」
(※矢嶋正幸氏「都市祭礼としての三匹獅子 -近世初期の城下町を中心にして-」P75 より)
矢嶋さんによると、せっかくの都市祭礼としての三匹の獅子が農村型の「悪疫退散、雨乞い」を主目的とした儀礼になってしまう傾向が全国で見られるとのことです。
そんな中、本庄の台町が伝えている三匹獅子は、地元の人たちの熱烈な支援と練習のおかげもあり、高度なレベルで都市祭礼としての三匹獅子の伝統を守っていると私には感じられます。
人口さえ多ければ都市的な空間が自然に立ち上がると勘違いされる方もいるかもしれませんが、都市とは、多種多様な属性を持つグループが魅力的に協力し合ったり、競争し合ったりして、土地に根付いた輝きを発する場所のことを本当の意味での都市と呼ぶことができると思います。
都市祭礼としての三匹獅子の醍醐味は、町人と武士の隔たりを壊し、祭りの場において一体感を感じさせることにあると矢嶋さんはおっしゃっております。
中世からの歴史を色濃く持つ本庄には、地理的に言えば、北陸や信州、上州等が出身がグループがあったり、商人や、旅芸人、白拍子、虚無僧等といった境界に生きる人々のグループがあったりと、多種多様な背景を持つ人たちが本庄宿には集っていました。
矢嶋さんによると、もともと異界と異界をつなぐ都市祭礼としての性質を持っていた三匹獅子が、時代の様々な要因のため、もっぱら町内だけをまわる傾向が強く、都市祭礼としての色彩が残念ながら薄まっている獅子舞が増えていっているとのことです。
一方、本庄の「台町の獅子舞」は、東京の靖国神社で奉納されたり、京都の智積院や八坂神社でも奉納したりと、緊張感を持った越境する都市祭礼としての性格を保つために果敢に新たなことに挑戦されています。
今回、北陸新幹線が延伸する前に、新幹線新駅ができる小松市の「こまつドーム」で、地元の人の喝采をあびながら三匹獅子がお披露目できたこと、本当にうれしく感じます。
このたびは、台町自治会、台町獅子舞保存会、青桐会、婦人会の皆様、関係者の皆さま、ご尽力いただき本当にありがとうございました。