~約300年ぶりに『陸船車』が江戸(東京)に登場~
本庄まちNETの新井 正人さんが、『技術と科学の Charinko WORLD 2022(チャリンコワールド2022)』に出席され、新井さんが実物大に復元した『陸船車(りくせんしゃ)』と、「聖火自転車」の写真を送ってくださいました。
『チャリンコワールド2022』は、日本最大級の自転車の特別イベントです。現在「科学技術館」(皇居外苑 北の丸公園)で開催されています。
いくつかある展示企画(アトラクション)の中で、「チャリンコヒストリー」というコーナーでは、自転車にまつわる様々なことを、過去から現在へと紹介しています。その中で、江戸時代に本庄で発明された世界最古の自転車『陸船車(りくせんしゃ)』の復元模型が展示されました。
◆『(門弥式)陸船車』について
『陸船車』は、江戸時代の享保年間に、北堀村(現在の本庄市北堀)で代々組頭を務めていた庄田 門弥(しょうだ もんや)によって考案されました。定説とされるフランスでの自転車発明より約130年も前に発案・製作されたものです。
古文書には、『陸船車』が江戸に運ばれ、八代将軍・徳川吉宗にも献上されたとあります。
人力による自走式の乗り物であることから、「機能上、世界最古の自転車」と称されています。
新井さんは、戸谷 正夫(とや まさお)さんが代表を務める本庄市の市民グループ「本庄まちNET」の ”からくり門弥プロジェクトリーダー”です。新井さんは、10年以上かけて『陸船車』を実物大サイズに復元されました。
(※2008年に本庄市立資料館の館長を努めていた増田一裕氏(本庄まちNETアドバイザー)が『陸船車』に関する論文を書いて、「門弥式陸船車」が世界最古のの自転車機能の発明品であることをつきとめられました。 )
◆東京2020オリンピック・聖火リレー
(2021年7月8日・埼玉県本庄市のスタート地点:はにぽんプラザ)
昨年開催された東京2020オリンピックでは、本庄市での聖火リレーのスタート地点となった「はにぽんプラザ」にて、第1走者として、ロービジョンフットサル日本代表の岩田朋之さんが『陸船車』に搭乗されました。その後第11走者として、新井正人さんが、本庄市から深谷市まで自転車で走行し聖火を運ばれました。
『チャリンコワールド2022』が開催されている「科学技術館」は、皇居外苑 北の丸公園の中にあります。そこは、かつて「江戸城」のあった場所です。
享保14年(1729年)に、『陸船車』は将軍吉宗に献上されました。
今回、約300年ぶりに江戸城のあった場所で『陸船車』が展示されたことはとても意義あることだと思いました。
◆技術と科学のチャリンコワールド2022
~自転車の発明と科学・技術とその文化的背景をテーマとした特別展~
【技術と科学のチャリンコワールド(Charinko WORLD 2022)】
■開催期間:2022年3月25日(金) ~ 4月3日(日)
■会場:「科学技術館」1階 展示/イベントホール 他(予定)
■入場無料
技術と科学のCharinko WORLD 2022(チャリンコワールド2022)公式サイト
◆チャリンコワールド2022で展示された『陸船車』(復元)
滋賀県彦根市立図書館にある『平石家文書(ひらいしけもんじょ)』に、「武州北堀村(今の本庄市北堀)の門弥なる人物が、一時に七里を走り(時速約14キロメートル)、坂も登れる『陸船車(りくせんしゃ)』なる乗り物を作り、近々将軍がご覧になる」という享保14年(1729)の記録が残っています。
庄田 門弥(しょうだ もんや・1658-1750)は、武蔵国児玉郡北堀村本田の住人で、現在の埼玉県本庄市北堀にあたります。庄田家は江戸時代に代々組頭(くみがしら)の役をしていました。系図には細工屋とあり、千里車(せんりや)の人と伝えられていました。最近ではからくり門弥として親しまれています。
この門弥の発明した陸船車(千里車)は、享保14年(1729)に将軍吉宗の命で江戸に運ばれ上覧されることになりました。
その記録は、彦根藩士の平石 久平次(ひらいし きゅうへいじ)によって『新製陸舟奔車之記(しんせいりくしゅうほんしゃのき)』という書物に記されていました。
(展示パネルより)
◆「聖火自転車」
~東京2020オリンピックの聖火リレーにて、新井さんが聖火を運んだ自転車~
新井さんは、2021年7月8日、東京2020オリンピックの聖火ランナーとして、本庄市から深谷市まで自転車で走行し聖火を運ばれました。
聖火自転車
【特長】東京2020オリンピック聖火リレーにて使用された貴重な自転車
【開発者】新井 正人 2020年、日本、ブリヂストンサイクルTB1
【重量】16.4kg
【車輪径】27インチ
【全長】180.8cm
※前方にランタンを装着して日本最長の5,123m聖火を運んだ
【所蔵】本庄まちNET 新井 正人
(※展示パネルより)
※Charinko WORLD 2022(チャリンコワールド2022)様 Twitterより
新井正人さんは、3月25日のオープニングセレモニー&内覧会で、科学技術館館長で、2001年にノーベル化学賞を受賞された野依 良治(のより りょうじ)氏や、でんじろう先生とお話をすることができて、夢のような1日でしたと述べられていました。
(2022年3月19日 戸谷八商店にて)
『中学校技術・家庭教用 技・家ノート(技術分野)』
『週刊 和時計をつくる(第22号)』(デアゴスティーニ・ジャパン)
埼玉県の教科書『中学校技術・家庭教用 技・家ノート(技術分野)』や、デアゴスティーニ・ジャパンのパーツ付きクラフトマガジン『週刊 和時計をつくる(第22号)』の中で、庄田門弥の発明した『陸船車』のことが掲載されているとのことです。
また、実物大の『陸船車』を復元するために、新井さんは新潟県長岡市にある「長岡歯車資料館」様を訪問し、研究されたそうです。
新井さんの長年に渡るご尽力のおかげで、これからも多くの方々に、本庄生まれの世界最古の自転車を実際に目で見て、体感してもらえることできます。本庄市民としてとてもありがたいです。
新井さん、このたびは、『陸船車』にとって記念すべき日となった会場での素敵なお写真を送っていただきまして、ありがとうございました!!