◆渋沢栄一翁の書「春水満四澤」
戸谷八商店には、渋沢栄一翁からいただいた書があります。
書には、「春水満四澤(しゅんすいしたくにみち)」と書かれています。
残念ながら詳細な資料は残ってはいないのですが、おそらく、渋沢栄一翁と親戚関係であり、秩父セメントの創業者である諸井家とのつながりでいただいたものなのだと思われます。
戸谷家は、今から約450年前に世良田(群馬県太田市)から出ており、新田氏の家臣でした。諸井家とは、中山道本庄宿を開拓した「花の木十八軒」と呼ばれる同志でした。(※諸井家についてはこちらへ)
◆「春水満四澤」の意味
「春水満四澤(しゅんすいしたくにみち)」は、中国の詩人 陶淵明(とうえんめい)の詩「四時歌」の起句です。
(五言絶句です。)
意味は、「春になって雪解けの水が四方の沢に満ち、どの川も水が満々と溢れ悠々と流れている。水そのものは、四季によって別に変りはないはずであるが、春の水というものは、どこか悠々閑々(ゆうゆうかんかん)としておだやかなものである。そのおおらかでおだやかな水、大地をうるおしやがて五穀の豊穣をもたらす水が、どこの川にも満々としているすがたに、天地和順・天下泰平・万民和楽の瑞兆(ずいちょう・めでたい前兆のこと)が感じられる。」 というものです。