10月8日(火)、本庄商工会議所にて、岡崎まちゼミの会 代表の松井 洋一郎氏のセミナーを受講いたしました。
セミナーのテーマは、「『まちゼミ』で全国行脚したから見えてきた また来たくなるお店・商店街を考えるセミナー」です。
【松井 洋一郎氏のプロフィール 】
内閣府地域活性化伝道師
経済産業省 タウンプロデューサー
全国タウンマネージャー協会 副会長
(株)みどりや 専務取締役
岡崎まちゼミの会 代表
(株)まちづくり岡崎 代表取締役
◆実績(2019年10月現在)
岡崎市中心市街地においてのまちゼミ参加店舗数2003年10店→2019年180店。まちゼミ受講者数2003年190人→2019年4,500人。岡崎市の中心市街地以外にもまちゼミの会を多数立ちあげに関わり、地域の活性化に寄与している。また全国各地にて400地域のまちゼミ開催にかかわっている。各地に広がるまちゼミは中心市街地だけに留まらず、市域全体の活性化に寄与しているとのことです。
このように、岡崎市はもちろんのこと、全国各地のまちづくり大変なご活躍をなさっているまちゼミのスペシャリストです。
セミナーでは、まずはじめに、本庄商店街連合会の松浦 常雄 会長より、松井 洋一郎氏のご紹介がありました。
◆「また来たくなるお店・商店街を考えるセミナー」の様子
松井氏は、全国のまちゼミの中から、特に効果のあったお店の取組みをいくつか紹介してくださいました。
◆まちゼミの成功事例
①「実験型」
まちゼミを実施し、お客様に好評だった分野で新規事業を立上げした例
(理髪店の例)床屋→女性顔そりサロン開業
(化粧品店の例)化粧品屋→エステ店開業
(居酒屋の例)居酒屋→料理教室開業
②「体験型」
お客様に参加・体験していただくことによってお店を好きになってもらい、お店の売上を向上させた例
(沖縄の例)国際通りの売上が下がっていた
→まちゼミで郷土菓子菓子製造体験を企画→郷土菓子店の売上がUP
③「コラボ企画(連携)型」
専門分野の違うお店が出会うことによって、独自商品を開発させた事例
料理の専門家とレトルトパックの専門家との「連携」による「新しい価値創造」の成功例
惣菜店とレトルトパック店が出会って、まちゼミでコラボ企画を開催
(講座内容:わが家のカレーをレトルトに『お母さんカレー』)
→コラボ企画でお客さんとのコミュニケーションの最中に、新商品開発へのきっかけを得る
→独自商品「骨まで豚なんこつ煮込み」の開発へ
以上のように、松井氏は、まちゼミで好評だった事例についてわかりやすくご説明くださいました。
セミナーを通して、まちゼミの可能性に改めて気づかされました。
大切なのは、「品揃え・価格・立地環境」ではなく、「人の魅力と顔のみえる関係」の中での勝負。
商店街の強みである「顔のみえる関係」(親密で自然なコミュニケーション)を重ねていく中で、
お客様にとって、そのお店とその街が、(他の地域とは差別化された)特別な場所になり、結果としてファンになっていただけるのだと思います。
お客様にとって、そのような満足や感動といった心の充実感は、物質的な価値以上に、潜在的に求められているものだと思います。
まちゼミは、お客様との「顔のみえる関係性づくり」の基盤となる、とても重要な取組みだと思いました。
(※最後に資料から)
最後に、松井 洋一郎氏からいただいた資料の中からまちゼミについて特に大切だと思った点を以下にまとめさせていただきます。
①まちゼミは「三方よしの仕組み」のコミュニケーション事業
まちゼミを通して、お店の人とお客様とがコミュニケーションをすることにより、信頼関係を築くことができます。
お客様にとっては、人生が豊かになる知識・技術が身につくなど多くの学びがあり、
お店にとっては、新しいお客様との出会い、商業者同士のつながりが生まれ、経営革新にもつながります。
その結果、地域も発展、活性化する仕組みです。
「お客様よし」(お客様の満足・幸せ)
「お店よし」(新規客・売上向上・経営革新)
「地域よし」(街の発展・活性化)
②継続するからこその実感
岡崎市においては、2003年から現在まで年2回のまちゼミを継続した結果、まちゼミ参加店舗数・受講者ともに増加傾向にあるとのことです。
参加店舗数:2003年(10店舗)→2019年(180店舗)
受講者数:2003年(190人)→2019年(年間4,500人)
また、千葉県野田市のまちゼミにおいても、
「第1回目のまちゼミでは商店街を使わない方が多かったが、継続的にまちゼミを実施する中、受講者においては、商店街の利用頻度が大きくアップした」とのことです。
つまり、まちゼミがきっかけとなって、結果的にお客様がお店のファンになってくださり、来街者が大幅増加することにつながったとのことです。
③「個店強化」がまちゼミの目的
まちゼミは、来街者を増やしたり、まちゼミ自体が目的ではなく、多くの店舗で来店客を増やすことが目的(個店強化)であるとのことです。
イベントや祭りなどで来街者が増えても、一過性のもので終わることになってしまいます。
真の商店街活性化のためには、お客様とのコミュニケーションによって、お客様に満足・感動をしてもらい、お店と商店街のファンになってもらうことが大切であるとのことです。
(みどりや様の例)
※みどりや様は、松井氏が岡崎市で専務取締役をなさっているお店です。
まちゼミ受講者→初ご来店率45%
→(1度ご来店いただいたお客様の中で)2回目のご来店率75%
→(2度ご来店いただいたお客様の中で)3~4回目のご来店率90%
つまり、まちゼミをきっかけにして、初めてご来店いただいたお客様には、2回目、3回目と継続してご来店いただける確率が上昇するとのことです。
言い換えると、まちゼミによってお客様に感動を感じてもらえたならば、そこにお客様との特別なつながり(新しい価値)が生まれるため、街のイベントよりも高い再来店率を獲得できる(個店強化)ということです。
④「連携」の大切さ
久留米市の「話題のまちづくり6次化戦略」の例から
事業者・支援者・サポーターからなる久留米街元氣プロジェクトチームを編成
→まちゼミを中心とした取組みから、様々な活性化事業へと展開することで、空き店舗率を約10%改善させた
街の元気を共に育む「連携」によって、様々な事業が展開創出され、商店街の賑わいが戻ってきているとのことです。
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※6次化戦略とは?
「6次産業化とは、1次・2次・3次それぞれの産業を融合することにより、新しい産業を形成しようとする取り組みのことです。簡単に言えば、生産者(1次産業者)が加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)も行い、経営の多角化を図ることと言えます。しかし、なぜ「6」次産業なの?と思う人も多いのではないでしょうか。6次産業の「6」は、1次・2次・3次のそれぞれの数字を掛け算したものであり、産業の融合を図り、新たな価値を生み出すことを意味しています。」(ジブン農業様HPより)
1次(生産)x2次(加工)x3次(販売)=6次産業
「6次化」の考え方をまちづくりに応用すると、事業者・支援者・サポータなど様々な人々が「連携」すれば、これまでなかったような新しいプロジェクトが生まれ(新しい価値創出)、街の活性化につながるということだと思いました。